混声合唱の演奏音声を、模擬的に3種作りました。聞き比べてください。曲の始めの30秒くらいです。
(1)観衆が静かにしているコンサートホールでの演奏
(2)出入り自由のホールでの演奏
(3)ロビーでの演奏
無伴奏合唱曲
(1)下の(2)から残留基底ノイズを除去したもの。取り除けない「話し声」が聞こえます。
(2)出入り自由のホールでの演奏を録音
(3)(2)にノイズを加えたもの
ピアノ伴奏合唱曲
(1)観衆が静かにしているコンサートホールで録音
(2)上の音にノイズを加えたもの
(3)(2)にさらにノイズを加えたもの
どうでしょうか。音の広がりの遠近感が違いますね。クラッシック音楽では小さい音(pp)から大きい音(ff)まで使います。一方、人間は普段小さなノイズに気づきません。気づいていないほどのノイズでも、音楽ではこれだけの影響があります。ノイズにより、楽曲の小さい音が聞こえなくなります。それで、遠くの音が聞こえず、奥行が狭くなったような、広がりのない音楽になります。
ノイズの影響をさけるには、マイクとスピーカーを使います。これにより小さな音も聞こえるので、奥行きの広い音楽になります。大きい音は、さらに強くしても、聴覚的にはさほど大きくならないので、問題ありません。
ただし、その違いは曲の最初の間だけで、人間はそのうちノイズに順応して、それが気にならなくなります。しかし、ノイズは、鑑賞者の無意識に働きかけ続けていますので、楽曲の芸術性を損なわせているのは間違いありません。