(琉球新報2025年1月6日ティータイム)

先日、那覇中学校の生年祝いの同期会があった。一年生のときのクラスメイトが集まったところで、数学の話題になった。担任の有銘先生が出した「12個の玉の問題」を思い出した女性がいた。「あれは難しくて誰も解けなかったね。正解は教えられなかった。どんな問題だった?」と彼女が言った。

それは、このような問題だった。「見かけ上まったく同じ12個の玉がある。そのうち1個だけ重さが違う。天秤を3回だけ使ってこれを見つけよ。その1個が重いか軽いかは分からない」。

実は、私は三年生になって解けたのだ。先生に報告して、正解であることを確認した。だが、彼女は、別のクラスになっていたので、それを知らなかった。千人の同級生の中で解けたのは私だけだったようだ。

最近、人工知能(AI)の話題が世間をにぎわせている。特に生成AIのChatGPTは、いろいろな問題に即座に回答し、すばらしい文章を生成する。私は12個の玉の問題をChatGPTに解かせてみた。彼は即座に回答した。だが、天秤を4回使っており、解答は誤りだった。これを指摘すると、彼は即座に謝り、別の解を出した。だが、それも誤りだった。3回目も間違いだった。

ChatGPTはネット上にある多くの人の文章を学習しているので、すばらしい文を生成する。だが、論理的な問題では、複数人の解答を組み合わせてしまうと正解にならない。ChatGPTの文章は、一般人のものより優れている。だが、意味を理解していないので、論理的には、つぎはぎなのだ。

新聞のタイトルは「生成AIと「12個の玉」問題」